身を持って知った体力差 第55回選手権ルポ(サッカーマガジン)

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2011年03月06日 08:00

身をもって知った体力差

 それでも、川島高との二回戦では体力ダウンがはっきり出た。
 前半は互角に戦えた後半、5分にゴール前の混戦から比嘉が決めて先行したものの、12分に川島高明石の二十メートルの強烈なシュート、つづく14分に工藤のシュートで2点目を失うと、精神的ショックも加わって豊見城の動きが、がっくり落ちた。比嘉がボールを持って攻め込んでもハーフ、バックスの押し上げはまったくみられなかった。パスも止まってもらうケースが多くなった。

 スタンドの最前列に陣取った沖縄出身のおばさんたちが、声をからして''動いて動いて’’と声援を送ってた。
 豊見城の野性美あふれる第一試合のはつらるさにカッコイイ!とほれ込んでこの日も最前列で応援していた高一の西田裕美さんと坂井あい子さんの’’まだ時間はあるわ、反撃して!’’と黄色い声での声援もむなしく、16分、26分、32分と3点を追加され、1-5で完敗してしまった。




 「10時20分という朝の試合のせいか、寒さでみんな思うように動けませんでした」と、主将の大城は戦いのあとで語っていた。たしかに第一戦のように、十分なウォーミングアップができないまま試合に臨んだ。 ボールが出ているのがわかっていながら体がついていけなかった。 その反省へ比嘉や玉城ら三年生は「もう一つ、意地がなかった。FWはあと2点はいけるとハッパをかけた」「BK陣も2点とられても三十分あると声をかけた」といった。 根がおとなしい名城、下地、金城の二年生トリオのHB陣のがんばりがもうひとつ足りなかった。 屋比久監督も、
 「寒さはわかっていたことで言い訳にはならない。第一の敗因はスタミナ不足。ついでにHBの幅がないことだ。右へ寄ったら右ばかり、左でフリーになっているのに目が届かない。まだまだ経験がたりない」
と、きびしく批判していた。

夏の全国総体に出た前原高も、スタミナ不足で敗退している。沖縄の上位高は、このほかに普天間、コザ、中部工、小禄、沖縄工なであるが、みな同じような欠点をもっている。
 それはグラウンド不足、指導者不足ということも手伝って、毎日の練習がなかなかできない。中学からそうだが試合の前になって練習する。 高校でもその習慣がみについてまわる。 日曜日の試合でも、半日は野球、半日はサッカーと決めているので、日に一試合くらいしかできない。 一ヶ所に何チームも集めて練習試合を組むのがむずかしい。 こうしたことがレベルアップを遅らせている、と、屋比久監督はいう。 そんな中で監督は、
 「毎日の絶えざる努力が大事」と口をすっぱくしていい続けてきた。 が、選手たちには、その実感がなかったようだ。 しかし、今回の全国大会参加で、みんな身をもってわかったはずだし、どんなにきびしい練習でも文句をいわないだろう。 二年生には非常にいい勉強になった、と、屋比久監督は、大会参加の意義をかみしめるように語った。


To be continued

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